■ボルト












Kar98kの心臓部であるボルト。高い信頼性を持ち、射手の安全にも配慮した設計。ボルトハンドルは下方へ折れ曲がっており、ハンドルを起こす動作に連動しファイアリングピンをコッキングできる(コック・オン・オープニング)。1934年の生産開始以降、品質の低下を避けるため、生産性向上を目的とした省力化・改造は1944年以降の末期生産型を除き、実施されていない。






ドイツ軍のマニュアル(カラー印刷)に掲載された断面図と各部の名称。












ボルト先端の左右に設けられたロッキングラグ。これがレシーバー内側の溝と噛み合い、ボルトを閉鎖位置でロックする。




ボルト後部にも予備のロッキングラグが設けてある。万が一、前方2か所のロッキングラグが破損してもボルトの後退を防ぎ、安全を確保する。






ボルトヘッドのスリットは薬莢を蹴り出すエジェクターが通る。




ボルトが後退し排出される薬莢が描かれたマニュアルの図面。エジェクターはレシーバー後部に設けられている(図面ではピンク色・Auswerfer)。








幅広でがっちりと薬莢のリムを保持するエキストラクター。ボルト本体とは円形のリングで接続されており、ボルトの回転に合わせて位置が動く。




ボルト側面に加工された2つの楕円形穴。射撃時に問題が発生し、高圧の発射ガスが射手側へ流れた場合、この穴からガスを逃がし射手への被害を防ぐ。ボルト閉鎖時、穴はレシーバー左側に位置する。1944年以降の末期生産型の一部では生産効率を上げるため、楕円から単純な円形に変更される。




細長い突起はボルト後退時にレシーバー上面の溝と噛み合い、ボルトのスムーズな往復運動を支えるガイド。一部の末期生産型では省略される。




ボルトハンドルの付け根、射撃試験への合格を示す国家鷲章のやや不鮮明な刻印。







ボルト後面は一部が斜めに切り欠き加工され、ここに撃針の後部とつながるコッキングピースが収まる。






ボルトハンドルが下がった閉鎖位置。コッキングピースはボルトの切り欠きに収まり、前進位置にある。コッキングされていない状態。




ボルトハンドルを少し起こした状態。コッキングピース下部の突起とレシーバーの溝が噛み合っているためコッキングピースは回転せず、斜めの切り欠きに沿って後退をはじめる。






ボルトハンドルが完全に起きた状態。コッキングピース・撃針はボルトハンドルを起こす動作と連動して後退。後退位置で保持され、前進できない。コッキングピースの後退は強力なファイアリングピン・スプリングのテンションに逆らうため、ボルトハンドルを起こす動作にはやや力が必要。




ボルトを閉じてコッキングハンドルを下げる際、コッキングピースは切り欠きの傾斜に沿って再び前進位置に戻ろうとするが、赤矢印の箇所にシアーが引っ掛かるため後退した位置(コッキング状態)で保持される。




ボルト内部のファイアリングピンが後退し射撃準備が整っている。スプリングによって前進しようとする撃針は赤で示したシアーによって保持。引き金を引き、シアーが下降すると撃針が前進、雷管を叩く。




ボルト後部に加工された半円形の切り欠き。これは2つの役割を持っている。
・ボルトハンドルを起こした位置においてプランジャーが凹と噛み合いボルトスリーブ本体の回転を防ぐ。
・安全装置レバーを右へセットすると凹に突起が干渉しボルトの動きをロックする。




ボルトスリーブの内側。安全装置レバーを右へセットした時だけ、ボルトの動きをロックする突起が出る。




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