■G.41(M) 全体写真 / ドイツ軍の使用例
G.41(M)の実物を手にするとスリムな外観と仕上げの美しさ、精緻な造りに魅了される。下方に突き出した弾倉庫や引き金などの部品を除き高品質な削り出し部品で構成されている。1挺あたりの生産コストに関する具体的な情報は無いものの、ワルサー社が製造したG.41(W)の方が生産コストが安く、製造も容易であったという事実をマウザー社が認めている。G.41(W)が150ライヒスマルク、製造時間は32時間なのでこれ以上のコストと時間が掛かっており、Kar98kと比較すれば最低でも3挺分の生産コストと推測される。
G.41(M)の生産数に関しては諸説あり、下は6,000挺から上は20,000挺までと幅が広い。マウザー社が保管している資料を調査したドイツの銃器史研究家 Wolfgang Seel は14,334挺としている。また現存するG.41(M)の製造番号を追った調査では1941年製が2,800番台、1942年製が12,700番台まで確認されており、約14,000~15,000挺程度だったと考えるのが妥当である。
G.41(マウザー)
全長:1,172㎜(掲載品の実測では1,175㎜) 銃身長:550㎜ 重量:4.6kg ライフリングピッチ:240㎜・右回り
本銃の特徴は半自動装填機構(セミオート射撃)とボルトアクションの両立、銃口に配置されたガス圧作動のピストン(バン・システム)である。G.41(M)はボルトが後退するスペースに加えボルトハンドルを収納する構造からレシーバーが長く、弾倉や薬室、リアサイトの位置がかなり銃口側へ寄っている。
銃を構成する主な部品はKar98kに準じている。
どちらもマウザー社で設計・開発された小銃であり、陸軍兵器局からの「Kar98kに近い形状にすること」という要求を受けたため似ている部分も多い。G.41(M)はKar98kに比べ、全長は62mm長く、重量は約700g増加している。
Kar98kの操作体系をできるだけ残しながら半自動射撃のための機構を追加したG.41(M)。レシーバー内部は大幅に複雑化しており、レシーバー全長も長くなっているが、高さと幅はほぼ同じ。
リアサイトの射撃距離調整は2,000mまでのKar98kに対して、実際の歩兵戦闘交戦距離を考慮して1,200mまでとなった。1,200mという数字はワルサー社G.41や後継となるG.43のリアサイトも同じ。
銃口部にガストラップ式のピストン機構が設けられている以外は同じデザイン。
陸軍兵器局からの要求で開発されたマウザー社とワルサー社のG.41。重量はどちらも4.6kg、全長はマウザー社が34㎜長い。
ワルサー社のG.41(W)は「自動装填機構が故障した際にボルトアクションで手動装填ができる」「射撃時に上部の部品が動かない」という陸軍兵器局の要求を無視して設計し、それが採用された珍しい例である。G.41(W)は「銃身にガス穴を設けない」という要求に従ったバン・システムの採用が欠点となり信頼性の低い銃という評価になってしまったが、ガスシステムと固定式弾倉以外は後継となるG.43にほぼそのまま引き継がれており、基本設計は良好だったと言える。
両社ともバン・システムを採用しており銃口まわりは似たデザイン・構造になっている。この類似は偶然とは考えにくく、2社間での情報共有や陸軍兵器局からの提示などがあった可能性が高い。
■G.41(M) ドイツ軍使用写真
ドイツ軍がG.41(M)を使用している写真は少ないが、2つの使用例を紹介する。
1944年8月、ポーランド、ワルシャワ蜂起。Josef Gutermann 撮影。聖カロル・ボロメウシュ教会が見えるポヴォンスコフスカ通りで運搬用カートから爆薬運搬車「ゴリアテ」を下ろして準備を行うドイツ兵の一団。部隊は第500突撃工兵大隊と推測され、同部隊の第2中隊はこの地区に2台のゴリアテを投入している。
ここで撮影された複数枚の写真の中で少なくとも3枚(このうち2枚はほぼ同一アングル)にG.41(M)を装備した兵士が確認できる。マウザーとワルサー、双方のG.41を使用した部隊試験から2年近くが経過している時期で、試験用の銃はそのまま各部隊で使用されていることが分かる。
1943年、A軍集団所属の戦争報道班がクリミア半島で撮影したG.41(M)。遮蔽物の後方から射撃するための遮蔽射撃照準装置 / Deckungszielgerät(DZG)に装着され、使用方法の実演が行われている。DZGはKar98kの他に、G.41(マウザー、ワルサーどちらも可)、Selbstladegewehr 259(r)(SVT-40の独軍名称)なども使用でき、1943年の初頭には採用されていたようだ。銃本体が離れた位置にあるためボルトアクションの操作は難しく、引き金を引くだけ連続発射ができる半自動小銃の搭載が適している。
写真は特徴的な銃口部が見切れているが、G.41(M)の機関部が比較的詳細に写っている。また1枚目の写真はボルトハンドルが90度上に起こされている。