■車載用布製弾薬袋 / Gurtsack その3


ベルトリンクで結合された7.92×57㎜弾(戦車で使用する弾種は鋼鉄弾芯のS.m.k、雷管周りが赤色)が150発収まり、スタータータブも付属する。






















実際にベルトリンク付き弾薬を150発入れた状態。細くなっている弾頭側に傾いて積みあがるため最上部は横倒しの状態で収まり、薬莢底部が上を向く。




一般的にイメージする写真のような整った向きでは収まらない。







キューポラに装備する対空射撃用銃架(Fliegerbeschussgerät)を例に弾薬袋の取り付け方法を紹介。上記は米軍のマニュアルに掲載されたイラスト。色付きで示した箇所が弾薬袋の装着金具。「1」の支柱は真横から見ると「匚」の形状、「2」の支柱は丸棒となっている。

この装着金具は上下逆に取り付けている例も確認でき、この場合は袋の中に入れる弾薬の向きも変えなければならない。




装着部を真横から見た状態。黄色が銃架側の金具を示し、弾薬袋と銃架の固定方法が分かる。不鮮明な実物写真を見る限り、固定をロックするような機構は備えていないようだ。引っかけフックのある方が射手側になるため、弾薬を袋に入れる向きも決まる。またフタを開けないと銃架に固定できない。




150発を入れてフタを閉じる。弾薬袋を横から見ると、薬莢底部の側に「膨らみ」が生じる。








対空射撃用銃架を細部まで鮮明にとらえた写真は少なく、メインとなる被写体の後方などに小さく写っている場合がほとんど。






4号戦車H型と思われる車輌で対空射撃用MG34を準備中。写真右はルーマニアの戦車兵で、車載型MG34のバレルジャケットにフロントサイト/2脚アダプターを取り付け中。キューポラの下には予備銃身を2本収納するケースが置かれている。




弾薬袋は全て同一の形状ではなくフタを閉じた際のロック方法、フタと本体との接続、フタの開く向きが異なるバリエーションがある。イラストの弾薬袋は革ベルトを金具に通す簡易なフタのロック方式を採用しており、フタと本体の接続も金属ではなく革を用いている。さらにフタの開く方向が掲載品とは逆の射手側となっている。

ここから弾薬袋は種類によって、フタが射手側に開くタイプと銃口側へ開くタイプの2種類が存在する。




鹵獲した3号戦車の無線手席を撮影した写真。弾薬袋はフタを革ベルトで固定するタイプを装備している。ボールマウントの下にフタが開いた状態で装着された2つの弾薬袋(左の写真)は、左:給弾用、右:薬莢回収用と思われる。

また椅子の背もたれにはMG34の予備ボルトや分解用レンチを収納する箱「MG.Werkzeug」が取り付けられている。




タイガーⅠの無線手席右側。布製弾薬袋の他に300発入り金属製弾薬箱も搭載している。




この写真では開いたフタが射手側にあるため、革ベルトでフタを固定するタイプのようだ。






こちらもフタが射手側に開くタイプ。フタ止めも革ベルト方式。車載型MG34はフロントサイト/2脚装着アダプターが付いており、リアの対空射撃用照準器が起きている。バットストックはベークライト製。




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