薬莢引き抜き工具 /
Gerät Zum Entfernen von Hülsenreissern u. Hülsenklemmern
/ Winkelschraubenzieher





射撃中に薬莢が引き抜かれず、そのまま薬室内に残ってしまう作動不良が発生することがある。この時に薬室内部に残った薬莢を引き抜くための専用工具がココで紹介する2点。どちらも機関銃手が携行するガンナーズツールポーチなどに入っており、薬莢の引き抜きは機関銃から銃身を取り外した状態で使用する。




薬莢引き抜き工具(中折れ型) /
Gerät Zum Entfernen von Hülsenreissern u. Hülsenklemmern




1939年5月に正式採用された薬莢引き抜き工具。本体は中間で90度折れ曲がる構造になっている。薬莢引き抜きに関する作動不良には主に「薬莢のリム破損」と「薬莢がちぎれる」という2パターンに分かれる。この工具ではそのどちらの不良にも対処することができ写真右側がリム破損用、左側がちぎれた薬莢用。




バッフェンアムトは「214」、製造メーカーコード文字の下部が消えているが「duv」と読め、どちらも Die BerlinLübecker Maschinenfabriken を示す。
パーカーライジングと思われるつや消しグレーの表面処理が施されているが、ドイツ軍で使用されるこのような工具は黒染め仕上げが一般的。




■薬莢のリム破損




弾丸が発射された後、薬室内に残る薬莢はエキストラクターによって引き出されるが、薬室に薬莢が強固に張り付いていると、エキストラクターは薬莢のリム部を引きちぎって後退し、薬莢がそのまま薬室に残るという作動不良が発生する。この状態から薬莢を取り除くには引き抜き工具の出番となる。







薬莢リムのくわえ部。通常は写真の通り左右が開いた状態となる。











工具を90度折ると、上下に分かれているくわえ部が閉じて、薬莢リム全周をガッチリと保持できる。




工具を薬室内に入れてリム部に押し当てたら工具を90度折り曲げてリムをくわえ、そのまま後ろへ引き出す。




■薬莢のちぎれ

発射薬が燃焼し薬莢内が超高圧になると、薬莢の製造不良などが要因となって稀に薬莢がちぎれるという作動不良が発生する。ちぎれた薬莢は前半部が薬室内に残り、プライマーを含む後半部はエキストラクターによって引き抜かれる。この場合、薬莢を確実に保持できるリム部が無いため、別の方法で薬莢を保持し引き抜く必要がある。







ちぎれた薬莢に差し込む先端部。









工具を90度折り曲げることにより中心を貫く軸芯が前進し工具先端が開く。溝のギザギザによって薬莢内での滑りを防ぎ、内側から薬莢を強力に保持する事が可能。




工具先端をちぎれた薬莢内に差し込む。工具を90度折ると、先端が広がり薬莢を内側から保持するので、そのまま後方へ引き抜く。この中折れ式工具は薬莢のリム破損・ちぎれのどちらに対しても高い除去率で優れた性能を発揮した。




薬莢引き抜き工具 / Winkelschraubenzieher



1939年5月から正式採用されたリム破損に対応した薬莢引き抜き工具。中折れ式の引き抜き工具と比べてリムの全周をくわえる構造ではないより簡易なタイプ。本体はスチールの削り出し。

この工具はMG34のバットストックを固定する大型マイナスネジの取り外しなど、ネジ回しとしても使える。













7.92×57mm弾のリム形状にピタリと勘合する爪。ガタツキ無く薬莢を保持できる。




ネジ回しとして使用した例。前記の通りMG34の大型マイナスネジにはジャストフィットする。




不鮮明ながら「WaA11」と読めそうなアムト刻印。製造メーカーはMaget。







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