■MG34重機関銃の射撃規定 弾道・射撃理論・射表





機関銃から放たれた弾丸はどのような弾道を描いて飛翔し、着弾地点ではどのような範囲に散らばり、外的要因は射撃にどのような影響を与えるのか?

ドイツ陸軍で発行された重機関銃に関する射撃規定マニュアルには射撃に関する基本事項が掲載されている。また実際の射撃において活用される様々な射表も用意されている。本項では2つのマニュアルに掲載された内容を日本語訳で紹介。遠距離における機関銃射撃の実態を理解するうえで、有益な情報となる。

マニュアルには、例えば以下のような内容を含んでいる。

・弾道に影響する風速を簡易に判断する方法
・射撃距離やラフェッテの設定から弾の散布界を算出する
・目標地域に散開する敵兵への命中率を計算で求める
・射撃距離1800m、風速4m/sの追い風の場合、風に対する照準角の修正量
・射撃距離2200m、気温マイナス20℃の場合、気温に対する照準角の修正量
・射撃距離1500m、射線上の800m地点に高さ50mの遮蔽物がある場合、これを安全に越えて射撃できるか
・各射撃距離におけるラフェッテのグルーピング




本項で紹介するマニュアルの内容や射表は上の写真で示したラフェッテ34+MG34+望遠光学照準器(MGZ34)の状態、つまり重機関銃としての運用を前提としている。特に射表に関しては2脚を装着した軽機関銃の運用には適用できない点に注意する。

ラフェッテは様々な射撃状況に対応できる複雑な構造や反動を抑制する機構を持ち、正確な計測・照準が可能な光学照準器が装着できるため「遠距離での高精度な射撃」を連想させる。しかし、中距離から遠距離に対する射撃に関してはピンポイントで狙うのではなく、一定の範囲に偏りなく弾丸をばら撒き、散開する敵兵を効率的に攻撃できる「面制圧兵器」である、ということが本マニュアルを読むと理解できる。






1937年に発行された「H.Dv.73 重機関銃射撃規定」のマニュアル。表紙サイズは10.8×14.9cm、166ページ。発行はベルリンにある「E.S. Mittler & Sohn」社。弾道の基礎知識から、命中率、弾の散布、天候の影響などが前半部、後半は射撃時の機材取り扱いに関する内容となっている。本項では前半部のみを掲載する。







1937年12月に発行された「H.Dv.73の付録6 MG34-ラフェッテ34 射表 (s.S.弾用)」のマニュアル。表紙サイズは9×14.2cm、40ページ。発行はベルリンにある「E.S. Mittler & Sohn」社。

以下、マニュアルの日本語訳を掲載する。一部の項目にはより内容を理解しやすいよう文章を追加している。




A. 射撃学(射撃理論)

銃内での発射過程と弾道

1. 撃針が雷管を打撃することにより、薬莢内の装薬に点火する。燃焼によって生じる発射ガスは、弾丸を加速度的に銃身外へと押し出す。発射ガスが薬莢底に、ひいては閉鎖機前面に及ぼす圧力によって反動が生じる。反動は、弾丸の後方へ流出する火薬ガスを銃口部の反動増強器(リコイルブースター)で利用することにより増大させる。

2. 弾丸が銃口を離れたのちに辿る経路を弾道という。弾道に影響するのは次の要素である。
a) 弾丸が銃身を離れる際の方向
b) 初速
c) 重力
d) 空気抵抗
e) 弾丸の長軸まわりの回転

3. 初速とは、弾丸が銃身を離れるときの速度をいう。初速は m/sec(毎秒メートル)で測定され、V₀ と表記する。
V₀ はばらつきを受ける。その原因は、銃身の内径差・摩耗等、気温、装薬の含水率の影響、さらに弾丸の重量差および口径差によって生じる。



4. もし初速だけが弾に作用するなら、弾は速度を変えずに、発射方向(図1の M—N)へ直線的に飛び続けるであろう。

図1の説明
破線:真空中の弾道(Flugbahn im luftleeren Raum)
実線:空気のある空間での弾道(Flugbahn im lufterfüllten Raum)

M:銃口
Mündungswaagerechte:銃口水平線
G₁、G₂:弾道の頂点
Z₁、Z₂:落下点

もし落下をもたらす重力だけが加わるなら、弾道は弧状の線となり、その最高点(頂点 G₁)は中央に位置し、かつその形は頂点の両側で対称である。真空中の弾道は放物線である(図1の M—G₁—Z₁)。

真空中では終末速度は初速に等しく、落下角は発射角に等しい(第15および17項参照)。最大射程は初速が同一であれば45°の発射角で得られる。

5. 実際には空気抵抗が常に弾の運動を減速させる。そのため弾道は真空中の落下線よりもいっそう弯曲する。射程は短くなり終末速度は初速より小さくなり、落下角は発射角より大きくなる。

弾道の最高点(G₂)は、銃口よりも落下点の方に近い位置にある。空気のある空間での弾道は、図1のM—G₂—Z₂で示したとおりである。機関銃から発射される重尖頭弾(s. S.-Geschoß)は初速770m/sで、発射角 7°35′において射程3000mを達成する。

最大射程を与える発射角は、空気のある空間では通常 45°より小さい。

同じ仰角であれば、初速が大きいほど弾道は伸び、弾が空気抵抗をよりよく克服する。この観点から有利に働くのは、
— 大きな断面負荷〔Querschnittsbelastung=弾重(g)÷弾の断面積(cm²)〕、
— 目的に適した弾形(細長い尖頭、滑らかな表面、弾尾部の円錐状の絞り)
である。s.S.弾の断面負荷は26.2 g/cm²である。

6. 滑腔(ライフリングのない)銃身から発射された長弾は、空気抵抗の作用下で横転または翻転しやすい。飛翔は不規則となり、射程は短縮し、命中性も低下する。これらの欠点はライフリング付き銃身の使用によって回避される。ライフリングでは、弾は腔線に圧入されることで長軸まわりの回転を得る。この回転を旋転という。弾の旋転によって飛翔中に尖頭が前方を向き続け、目標に先端が到達することが確保される。s.S.弾は銃口を出る際、毎秒3,200回転する。

長軸まわりの回転は通常、弾を回転方向の側へ偏向させる。本軍の射撃武器は右回りの旋条であるため、弾は右へ偏向する。この偏向はこれらの兵器の使用で問題となる射程においてはきわめて小さく、考慮する必要はない。




銃口音と弾音

7. 機関銃で射撃する際には、二つの異なる音響現象が生じる。
a) 銃口音(Mündungsknall):弾丸の後方から衝撃的に噴出する発射ガスによって生じる。
b) 弾音(Geschoßknall):空気の圧縮—いわゆる「頭波(Kopfwelle)」によって生じ、弾丸速度が音速を上回っている間、飛翔中の弾丸の前方に形成される。


8. 敵から射撃を受けた場合、まず高い音の弾音が聞こえ、その後に多くはこもった銃口音が聞こえる。弾音と銃口音の時間差は、射撃方向上で最大となる。
火器の後方や斜め後方では、銃口音と弾音が重なった「一つの破裂音」として常に聞こえる。したがって、自分の火器の後方にいる射手にも一発の音としてしか知覚されない。

9. 弾音は、距離、とりわけ発射方向について大きな誤認を引き起こし得る。どの方向から撃たれているかは、銃口音のみによって判断できる。




弾道の説明

10. Mündungswaagerechte M—Z(図3)
銃口水平面とは弾丸が銃口を離れる瞬間に、銃口中心が位置していると仮定する水平の平面をいう。射表(Schußtafel)の諸値は銃口水平面を基準としている。

(図3:M=銃口、Z=落下点、Mündungswaagerechte=銃口水平線)



11. Zielwaagerechte(図4)
目標水平面とは、目標が位置する水平の平面をいう。目標が銃口と同じ高さにある場合、銃口水平面と目標水平面は一致する。

(図4:Visierlinie=照準線、Mündungswaagerechte=銃口水平線、Zielwaagerechte=目標水平線)



12. Visierlinie(図5)
照準線とは照尺(リアサイト)の中央と照星(フロントサイト)先端を結ぶと仮定した直線である。

13. Visierwinkel(図5)
照準角とは照準線(Visierlinie)が目標 Z に向けて構えられた銃の銃腔中心線(Seelenachse)となす角である。



14. Erhöhung / Erhöhungswinkel
仰角とは射撃直前の銃の銃腔中心線が銃口水平面〔Mündungswaagerechte〕となす角である。
目標が銃口水平面上にある場合(図6)、照準角は仰角に等しい。

Seelenachse vor der Abgabe des Schusses :射撃前の銃腔中心線
Seelenachse im Augenblick der Schussabgabe :発射瞬間の銃腔中心線

15. Abgangswinkel(図6)
発射角とは弾丸が銃を離れる瞬間の銃腔中心線が銃口水平面となす角である。
仰角と発射角はしばしば一致しない。その差は発射誤差角(Abgangsfehlerwinkel)によって生じる(図6)。

発射誤差角に主として影響するのは発射時の銃身の振動であり、これは兵器の種類や弾薬によって、また同一の兵器でも異なり得る。発射誤差角は弾丸と銃身の係合、支持方法、とくに銃身の据え付け・保持の仕方に依存する。
発射誤差角は正にも負にもなりうる。

したがって:
発射角 = 仰角 ± 発射誤差角



16. Gelände­winkel(図7)
地形角とは、照準線が銃口水平面となす角である。目標が水平面より上にあるときは正(z₁)、下にあるときは負(z₂)。



17. 以下の弾道説明では、銃口と目標が同一の水平面上にあるものと仮定する。

G(図3)は弾道の最高点(頂点)。その銃口水平面からの垂直距離 G—G₁を弾道の頂点高という。
Gipfelentfernung M—G₁(図3)は銃口から頂点直下までの水平距離である。
Aufsteigender Ast M—G(図3)は銃口から頂点までの上昇枝をいう。
Absteigender Ast G—Z(図3)は頂点から弾道終端までの下降枝である。
Flughöhe P—P₁(図3)は弾道上の任意点 P と銃口水平面との垂直距離。
Fallpunkt は弾道が銃口水平面と再び交わる第2の交点である。
Fallwinkel(図3)はFallpunkt における弾道の接線が銃口水平面と成す角。
Auftreffpunkt は弾丸がその弾道上で目標または目標地表に当たる点である。
Auftreffwinkel w(図8・図9)は当たり点における弾道の接線が目標面と成す小さい方の角。

(図8・図9:上昇枝/伏せ撃ちの模式)

Endgeschwindigkeit はFallpunkt における弾丸速度(m/秒)。
Auftreffgeschwindigkeit は弾丸が命中する瞬間の速度。
Flugzeit は銃口から命中点までの飛翔時間(秒)。射表には銃口から落下点までの飛翔時間(射表上の飛翔時間)が示される。
Wは弾丸の運動エネルギー(メートル・キログラム:mkg)を表す。
Auftreffwucht は命中時の衝撃の強さをいう。




照準

18. 弾丸は銃口を出た後、重力の作用により延長した銃腔中心線の下方へ落下していく。したがって、一定距離の目標を命中させるには、銃腔中心線を目標よりも所定量だけ上方に向けねばならない。
銃身を水平に保持した照準線 M—A(図10)を基準にとると、目標 Aを撃つには、A より上方 A—Z の分だけ離れた点 Z₁(図11)に銃腔中心線を向ける必要がある。



19. しかし狙点(Haltepunkt)は照準において目標の中、または目標のすぐそばに置かれねばならない。そこで銃は照準装置(照尺と照星)を備える。照準線を目の位置で特定の点に合わせること、これを狙う(zielen)という。

意味(用語の定義)
Haltepunkt:照準線を合わせるべき点。
Zielpunkt:射撃の瞬間に、実際に照準線が向けられていた点。
Treffpunkt:弾丸が命中した点。

20. 目標が遠くなるほど照準角(Visierwinkel)は大きくしなければならない。すなわち、より高い照尺位置で射撃する必要がある。
照尺は銃腔中心線に対して、照星の先端よりも高く位置するため、弾道は銃口直前で照準線を一度横切る(図5)。弾道がふたたび照準線と交わる第2の交点(図5の Z。ここでは狙点と命中点が一致する)までの距離を、その照尺に対する照準距離(Visierentfernung)という。
目標までの距離が、当該の照準距離より短い場合は、弾道の高さ(Flughöhe)の分だけ下に外して狙点を置かなければならない。

狙点の取り方を目標の下縁・上縁のいずれに定めるかによって、次の言い方をする:
「目標の中に入れる(in das Ziel gehen)」
「目標に載せる(Ziel aufsitzen lassen)」
「目標を隠す(Ziel verschwinden lassen)」

21. 地形角(Geländewinkel)の影響は、直接照準(照尺と照星で、または照準筒で狙う)では目標と射撃位置の高低差が小さい場合には、照準装置を目標に合わせて調整することで、十分に打ち消すことができる。
間接照準では角度計測器で地形角を考慮に入れる。小さな地形角のときは、照準環の設定をわずかに上げ/下げて、弾道を地形角の分だけ上げ/下げる(=弾道を地形角に応じて補正する)。これを行わないと、弾道は図7のZまたはZ₂の方向へ曲がったままとなり、別の点で終端してしまう。
高低差が大きい(山岳地帯で、谷を越えて撃つ等)場合は、地形角の大きさが同じ目標距離でも照準角に影響するため、急峻な上り/下りでは特に注意すること。大きな仰角の値は射表(高仰角用の射表)から読み取る。

22. 射表に記載される照準装置の指示(照準距離)はs.S.弾に基づく値である。S.m.K.弾(尖頭弾鋼鉄弾芯)を用いる場合、約800mまではs.S.弾と同じ照準設定で足りる。




気象の影響

23. ここでいう気象の影響とは、空気密度(Luftgewicht)・風・降水が弾道に及ぼす作用を指す。

Luftgewicht(空気密度)

24. 照準装置の目盛は次の標準状態に基づいている:
空気密度 1.22 kg/m³(海抜約150m、気圧745mm、気温+10度、75%湿度、無風)、および平均的な初速。したがって、この仮定条件の範囲内でのみ正しい照準値が得られる。

25. 空気密度は気圧・気温・空気の湿度に依存する。湿度の影響はきわめて小さく、通常は考慮しなくてよい。

26. 空気密度が低いほど射程は延び、高いほど射程は短くなる。

27. 空気温度は射程をかなり変化させ得る。一般に暖かい(=空気が軽い)天候では着弾が伸び、寒い天候では短くなると見込む。気温が10度変わると、1000mにおける平均着弾点は、高さ方向に約1m、奥行(到達距離)方向に約30mずれる。

28. 気圧の変化の影響は、まず標高差が大きい場合に目立つ。気圧は高度計(気圧計)で読むか、発射位置の海抜(地図)から算定する。海抜の標高差に応じて、おおむねそれに見合う気圧差が生じる。
海抜から気圧を表す場合には、日々の気圧の変動は考慮されていない。これらの変動はごく小さいため、機関銃の弾幕(Garbe)のばらつきに比べて無視できる。





29. 向かい風は射程を縮め、追い風は伸ばす。
中程度の風(約4m/秒)が射撃方向に吹くと、1000mで弾幕の中心は奥行方向に約10mずれる。
側風(約4m/秒)では1000mで横偏差が約2~3mとなる。強い風(約8m/秒)ではこれらの値はほぼ倍になる。

30. 空気密度(気温・気圧)と風が同じ向きに作用する場合、中距離(~800m)では照準距離の修正が最大100m程度、遠距離では最大150m程度必要になることがある。

31. 風の影響を補正することは機関銃の弾幕では難しい。多くの場合、地上風の目測に頼らざるを得ないが、地表から上空へ行くほど風向・風力は変わるため、地上風だけでは厳密な射撃は期待できない。この不足は十分な縦・横射(長さ方向/幅方向への掃射)によって補わねばならない。
s.S.弾に対する風力の計算値は射表に定められている。ただし射表の値は「弾道の中間高度で有効な風」、すなわち弾が飛翔中に受ける各高度の風の平均を前提としている点に注意。

32. 地上風の強さの目安として、以下の観察基準が参考になる。
風の作用と風速

「目安となる状況」  「風速 m/秒」

・煙はほとんどまっすぐ上に昇り、葉は動かない。 0-1
・風向は煙の傾きでようやく分かる。木の葉がわずかに動く。 2
・風を感じる。葉がかすかにざわめく。軽い旗は常時はためく。 3
・小旗がはっきり動く。砂ぼこりや紙片が舞う。静止水面に小さなさざ波。 4
・細い小枝が常時揺れる。静止水面に多数のさざ波・小波。 5
・太めの枝が動く。電線が鳴る。風上に向いた歩行はやや困難。 6
・風を強く不快に感じる。大きな旗がひっきりなしにはためく。 7
・折れそうな音が所々で聞こえる。立木が全体として揺れる。 8
・歩行困難。煙は地表に沿って流れる。水面に長い波、所々白波。 9
・樹木全体が激しく揺れる。水面にはっきりしたうねり、広く白波。 10
・強烈な暴風域。所々で飛沫・白泡を認める。 11
・静かな水面に明瞭な白波をともなう波。葉の落ちた中位の木が揺れる。向かい風で歩行が不快になる。 13-15
・向かい風での歩行が著しく困難。より太い木も動き細枝や軽い物体・屋根瓦などが元の位置から動かされる。 16-18
・屋根が損傷し、葉のない太めの枝が折れる。 19-21
・樹木が倒れ、風はより大きな破壊を引き起こす。22以上

風向は、煙突の煙、舞い上がる粉じんや砂、葉巻の煙、あるいは湿らせた指などで見定められる。



降水

33. 雨・雪・雹は射程を短くする。短縮量は観察または推定に頼る。

34. s.S.弾による射撃では気象の影響は射表にしたがって補正を行う。




射撃性能

35. ある兵器とその弾薬の射撃性能は、
— 弾道の性格(低伸性:Rasanz)、
— 散布界(Streuung)、
— 弾丸の効果(Geschoßwirkung)、
— 射撃効果(Feuerwirkung)
によって特徴づけられる。

可視目標を射撃する場合、弾道の低伸性は重要である。弾道が低伸であればあるほど、照尺の設定誤差が生んでしまう影響や、不可避の見積り誤差・気象影響の結果が相対的に小さくなる。




散布(概説)

36. 同じ兵器からできるだけ同一条件で多数発を連続して撃っても、弾は同一点には当たらず、大小さまざまな面積に分布して命中する。これを散布(その兵器固有の散布)という。
散布の原因は銃の作動の不均一、気象条件の変動、弾薬の製造上および性状の避けがたい微小差、火薬の燃焼のばらつきなどである。
単発射では、射手の照準・引き金操作の誤差によって散布がさらに広がる(射手散布)。

37. 垂直な標的板に現れた散布図は、高さ方向が幅方向より大きくなる(すなわち縦散布が横散布より大)。〔図13〕

38. 命中図上に縦の直線と横の直線を引き、左右・上下に同数の弾痕が分かれるよう調整すると、両直線の交点が平均命中点(mittlerer Treffpunkt)である。
以後、本冊子の第2~20項の記述は平均命中点および照準にとらえた狙点を通ると想定した弾道に関する。

39. 照尺照準では本来平均命中点は狙点に一致するはずだが、実際にはわずかな偏差(上・下・右・左)が生じる。射手が選ぶ狙点(Haltepunkt)はその銃の平均命中点の位置(Treffpunktlage)によって定まる。平均命中点が狙点からずれないほど、その銃(あるいは射手)の命中率は良好である。

40. 平均命中点の位置はある銃・あるいは射手の性能を評価するための尺度を与える。

41. 散布図における各弾痕は、はじめは全く無秩序に分布しているように見える。多数を撃ってはじめて、一定の法則性が散布図の中に認められる。
平均命中点の周囲に最も密に着弾し、外側へ行くほど分布は薄くなる。これは確率論の法則に従う。

42. 目標に向けて射撃数が増えるほど、命中は法則的に分布する。すなわち、ほぼ半数(50%)が中央の四分区に、さらに約5分の1(20%)が残り半分の外側に位置する(図12)。

図12:帯状に分けた命中分布の概念図。中央帯(A–B:Mittlere Trefferachse/平均命中軸)ほど割合が大きく、外側ほど小さくなる。

43. 散布図の水平な中央線(=平均命中軸)から等間隔に2 本の平行線を引き、その帯の中に全発のちょうど半数が入るようにする。
この帯の高さを「平均(=50%)縦散布」、同様に鉛直方向の帯の幅を「平均(=50%)横散布」という(図13)。

44. この平均(=50%)散布も、銃または射手の性能を判定するためのもう一つの尺度となる。


図13:上下・左右の50%散布。円は50%の命中を含む円、縦の帯は50%縦散布を示す。

45. 地上目標に対しては、命中は水平の「命中面」上に分布する(図14)。
その幅は距離とともに増大し、その長さは縦散布と落下角に依存する。


図14:距離の増大に従って扇形に広がる命中面の模式図。

46. 近距離で縦散布(Höhenstreuung)と横散布(Breitenstreuung)の差が大きくない場合には、命中の50%を内接させる円(図12)の半径が、命中精度の評価に適した尺度を与える。
この半径で平均命中点を中心に描いた円は内側の半数を含み、その2倍の半径の円は約94%の命中を含む。

47. 散布は射数の増大とともに大きくなり、多数射に達して初めて一定の上限に接近する。通常扱う限定された射数では、最高弾と最低弾、最右弾と最左弾の差が大きく変動する。したがって「最大偏差」という尺度は評価に適さないことが多い。
このため、小射数でも安定した値を与える50%縦散布または50%横散布を用いる。




S.M.G.-Garbe(重機関銃の弾幕)

48. 重機関銃(s.M.G.)で連続射を行うと、s.M.G.の弾幕(Garbe)が形成される。弾幕の形状は第36項で挙げた要因のほか、銃身の震動・揺動に依存する。
命中が法則的に分布する点については第36~47項のとおりである。s.M.G.の弾幕は密にまとまるが、射手は慎重で適度な移行(ゆるやかな掃射)により弾幕を移し替えることはできても、その広がり自体を変えることはできない。

※欄外注釈
* 散布値は実際に得た多数の命中図の平均値である。使用材質・弾薬・気象・射撃の仕方・標的の性状などが影響し、記載値からの差異が生じる場合がある。
** 小射数では100%(や94%)といった表現は適切でない。このため評価には50%散布を用いる。

49. s.M.G.の弾幕を垂直の標的板に受けさせると、垂直の命中図(=その兵器の100%散布)が得られる。この命中図は縦径の方が横径より大きい。距離が増すと、主として縦散布が増大する。

50. 地表では着弾が水平の命中図を形成する。最短着弾から最遠着弾までの射撃方向の長さを、その火力が覆う空間の「深さ」という。距離が増すにつれ、落下角が急になるため、この深さは小さくなる。

51. 弾幕の中央部で最も密な部分(全弾の約75%を含む)を「有効部(nutzbarer Teil)」といい、残りを「上部・下部の接続部(oberer/unterer Anschlußteil)」という。(図15の A–B 間が有効部)




52. 点目標に対し仰角・方向を固定して射つ場合、弾幕の幅・高さ・深さはいずれも最小となる。
点目標に対しレバーを遊ばせる射ち方では幅は増すが、高さ・深さはわずかしか増さない。
弾幕の広がりは射手が機関銃をどれだけしっかり保持するか、および架台(Lafette)の状態によって左右される。

53. 横掃射(Breitenfeuer(縦深掃射なし))を行うと、弾幕の高さ位置に揺れが生じる。これは銃腔中心線(Seelenachse)を左右に振る際に銃架の支持部にかかる負荷が部位により異なること、ひいては発射方向のぶれによって起こる。結果として、狭い波状の命中図ができ、その縦寸(高さ)は距離によって異なる。

54. 重機関銃(s.M.G.)の有効弾幕の“奥行き”は、一般に小さい(例:射距離2000mで約65m)。
距離を測距儀 Em.14/34で測る場合、器材が正常で測距操作が良好であっても測定距離の誤差は避けられず、この誤差がしばしば“有効弾幕の奥行き”より大きい。2000mでの通常の測距誤差は、たとえばEm.14/34 で約75mである。
そこでs.M.G.では目標への確実な打撃を期すため、弾着を計画的に“縦深に”分布させ、到達し得る最大集中をあえて求めない。これは100mおよび 200mの(範囲幅の)縦深掃射(Tiefenfeuer)を適用することによって行う。

55. 縦深掃射(Tiefenfeuer)では各仰角に対応する弾幕が互いに重なり合うため、有効部の中では命中がほぼ一様に分布する。

56. 縦深幅を大きくするほど、ある特定の“奥行き”帯に落ちる命中の割合は小さくなる。

例:
規則どおりの縦深・横掃射を行ったとき、水平の命中図では弾幕(Garbe)が帯状に広がる。以下の仮定を置けば、ある距離にいる敵に命中させられる確率を見積もれる。
— 目標の距離と方位が正しく判定されており、“弾幕の最も密な部分(Kern garbe)”が目標中央に合っている(未知地形ではまれ)。

(前項の例・条件)
目標: うつ伏せの敵兵射手100名が横幅150mに展開
距離: s.M.G.—目標 = 2100m
総射数(s.M.G.): 1000 発
縦深掃射幅: 100m
有効部の長さ(2100mでの s.M.G.弾幕): (図示のA–B相当。以下の面積計算に使用)
被射撃面の大きさ: 奥行100m × 幅150m = 15,000m²
匍匐の射手1名が占める水平面積: 約 0.2m² × 100名 = 60m²(仮定)

→ 命中確率(匍匐の射手に命中する確率)は射手が占める面積/射撃で覆う全体面積に等しい。
すなわち 60 / 15,000 = 1 / 250
s.M.G.は1000発撃つが、考慮すべきは全弾の75%を含む“弾幕の最も密な部分”であるから、
1000 × 0.75 × (1/250) ≈ 3 → 約3発の命中が期待できる。

57. 命中効果の評価では、射数に対する命中数の比(射撃術的成功)ではなく、発射時間に対する命中数(戦術的成功)を問題にする。ゆえにs.M.G.の発射速度、すなわち1分間の発射弾数は命中成果を左右する決定的要因である。

58. 縦方向の変化と弾幕の奥行き(100%弾幕の、縦深掃射なし/ありの平均値)については射表を参照のこと。




Visierbereich(照準領域)

59. a)単射の場合
s.M.G.はあらかじめ定めた距離に照準装置を合わせて単射する際、照準射(Visierschuß)となり弾は狙点に命中する。目標が近くなったり遠ざかったりしても、同じ照準点(例:目標の中央)を保ったまま命中する場合がある。これは弾道が照準線より上に出る量が、照準点の上にある目標の高さを超えず、かつ弾道が照準線より下に沈む量が、照準点の下にある目標部分の高さを超えないかぎり成り立つ。

このように、一定の大きさの目標に対して照準点を変えず(照尺の操作なし)に命中できる範囲を「照準域(Visierbereich)」という。

図16では目標が A から B へ移動する。A では弾道が目標の足をかすり、ここで照準域に入る。B では弾道が目標の頭をかすめ、ここまで照準域内に留まる。図示の A…B 間――照準領域である。




60. 照準領域は弾道の低伸性(Rasanz)と目標の大きさに左右される。地形の形状(図17)には基本的に依存しない(ただし、それによって目標高が変わる場合を除く)。照準領域が大きいほど、照尺の誤差があっても命中の見込みが増す。

図17
斜面上での例。複数の照準線に対して、照準領域がくさび形に広がって示されている。
したがって、機関銃にはできるだけ低伸な弾道の弾薬が特に重要となる。





b)連続射の場合
61. 連続射(Dauerfeuer)では弾幕(Geschoßgarbe)の存在によって照準領域が大きくなる。
「連続射における照準領域」とは図18のように、弾幕中核部〔Kerngarbe〕の上縁が目標を越えておらず、かつ下縁が目標の足元より下に沈んでいない範囲を指す。
図18のように射手に向かってくる目標を照準点=目標の中央で射つ場合、弾幕中核部の上縁が最初に目標の足に触れた時点で目標は照準領域に入る。そして弾幕中核部の最も低い弾道が頭部をかすめる間は照準領域内となる。

図18
Visierlinie(照準線)を基準に弾幕中核部の上縁/下縁が目標を覆う範囲が「連続射の照準領域」として描かれている。



よって、連続射における照準領域は
a)弾幕中核部の弾道の縦方向の散布(AC)によって形づくられ(目標の大きさには依存しない)、
b)最短弾道(BA)の照準域によっても形づくられる。後者の大きさは目標高により決まるが、中距離では成人身長程度の目標でもその寄与はほとんど問題にならない。

62. したがって連続射の照準領域は、弾幕中核部の縦散布に最短弾道の照準領域を加えたものに等しい。




Bestrichener Raum (掃射空間)

63. ある目標を射撃すると、その目標の前後に一定の危険区域が生じる。この危険部分を「掃射空間」という(図19)。すなわち、弾幕(Geschoßgarbe)が地表面上で“目標の高さ”を越えない空間を意味する。

(図19:Visierlinie〔照準線〕/bestrichener Raum für Figurziele〔人形目標に対する掃射空間〕)




64. 目標の後方に向かって地形が上り坂になっている場合、掃射空間は小さくなり、下り坂なら大きくなる。自軍の射点と目標の高低差も大きさに影響する。高所から射撃すると、一般に敵側の掃射空間は縮小する。
掃射空間が大きい地形では援護部隊の前進や弾薬の接近が困難となる。



Gedeckter Raum (遮蔽空間)
(=目視されない空間=視界に対する遮蔽)

65. 遮蔽物の背後で、弾の飛行路が到達しえない空間を「遮蔽空間」という(図20)。その大きさは、遮蔽物の高さ、最も低い弾道の命中角(入射角)、および目標の高さによって決まる。

(図20:遮蔽物の背後に生じる遮蔽空間の模式)




Abpraller (跳弾)

66. 着弾時に跳ねる弾は多くの場合横飛び弾(Querschläger)として飛び続ける。近距離射の跳弾は目標内および掃射空間での射撃効果を増大させうる。跳弾は小さな入射角で硬い乾燥地面、密な芝生で覆われた地面、水面に当たったときに特に起こりやすい。入射角が大きい場合には跳弾は少ない。また、草・穀物・低木などにかすっても弾は進路をそれることがある。



Geschoßwirkung (弾丸の効果)

67. 弾丸の効果は目標の抵抗力のほか、口径(直径)、形状、重量、材質、命中時の速度、および入射角に依存する。

68. 重尖頭弾(s.S.-Geschoß)の垂直命中における貫通力は次のとおり:

a)
乾燥したトウヒ材
100m:65cm
400m:85cm
800m:45cm
1800m:25cm

100mでの貫通力が400mより小さくなるのは、近距離では速度が高すぎて弾体が潰れ、貫通に不利な形状になるためである。

b)
鉄板
7mm:約550m
10mm:約300m

鋼板
3mm:約600m
5mm:約100m

800mでは3mm鋼板がs.S.弾に対して確実な遮蔽物となる。砂地ではs.S.弾は約90cmまで侵入する。

69. れんが壁(厚み:レンガ一個分=約25cm)は単発のs.S.弾では目地に当たった場合にのみ貫通する。連続射撃では、より厚い壁でも同一点を集中的に撃たれれば安全とは言えない。S.m.k.弾は8.5mmの鋼板を約400mで、10mmの同種鋼板を約100mで確実に貫通する。




Feuerwirkung(射撃効果)

179. 機関銃の火力は、点目標に対してであっても常にある面に作用する。その面の大きさは機関銃の弾幕(Garbe)の広がりおよび実施する縦深射・幅射によって定まる。

180. 射撃効果は次に依存する:
(1) 目標までの距離
(2) 目標の種類・密度・大きさ(高さ・幅・奥行)
(3) 目標における機関銃弾幕の位置と広がり
(4) 目標地点の地形形状と地表被覆
(5) 使用弾種

181. 側射(Flankierend)は実際上の、そして何より心理的効果を高める。この射撃配置は超過射撃にも好都合である。交差射撃は射撃距離を延ばし、超過射撃では火力を味方の方へより近づけることができる。複雑な地形では正面からは見えない目標に対しても必要となる。

182. 高い・低い目標には一般に1500mまで壊滅的効果が期待できる。

183. 遮蔽されていない低い目標は観測の可否に応じて、機関銃弾幕により1500mまで制圧できる。

184. 高低の入り混じった遮蔽されていない目標に対しては目標の動きを観測できる場合、2500mまで良好な成果が期待できる。

185. 2500mを超える距離では、機関銃火力は多くの場合抑制効果にとどまる。ここでは心理的効果が決定的に重要である。

186. 航空機は複数の機関銃による射撃で1000mまで効果的に戦闘可能。

187. 装甲車両に対してはS.m.K.弾で視察孔・銃眼およびアンテナ、非装甲の搭乗員に対し100mまで効果が期待できる。s.S.弾では搭乗員を跳弾で危険にさらすことができる。

188. 遮蔽された・築城された・掩体化された目標は抑え込むことはできるが、撃滅することはできない。

189. 開放・遮蔽されていない目標は、機関銃火力から逃れるため効果範囲外へ離脱しようとする。ゆえに射撃の開始時こそ命中の好機であり、目標における効果は、できるだけ素早く、かつ持続的に、圧倒的な火力を入れることで最大になる。

190. 機関銃は不意の出現と、集合した圧倒的火力によって最大の効果を収める。




Beobachtung der Geschoßeinschläge(着弾観測)

192. 着弾観測に決定的なのは距離、目標地域の性質、および天候の影響である。

193. 距離が増すほど観測は難しくなる。1500mを超えると、きわめて良好な観測条件の下でのみ着弾観測が可能であり、多くの場合、敵の挙動から効果を判断するにとどまる。

194. 良好な観測は砂地、水面、乾いた舞い上がる土煙で期待できる。藪や樹木・低木の葉が落ちることは弾幕帯の位置を示す。順光は着弾観測を助ける。湿った地面、背の高い植生、繰り返し射撃の状況では観測は困難または不可能になる。

195. 弾幕帯は射手位置が目標地域を見おろす場合、または目標が前斜面にある場合、目標の前後に見えることがある。目標が逆斜面にあるときは、弾幕帯は目標の前縁にのみ現れる。

196. 単発の着弾だけを観測するのは誤判断や誤った措置につながりやすい。

197. 着弾観測では各距離に対する飛翔時間を考慮しなければならない(射表参照)。例:s.S.弾の1600mでの飛翔時間は約4秒、2500mで約8秒。

198. 直接照準と確実な着弾観測のほか、弾幕の位置に対する修正は、号令「höher(もっと高く)」「kürzer/länger(短く/長く)」によって行う。射撃の途中ではラフェッテのハンドホイールにより高低(および方位)を微調整する。




■H.Dv.73の付録6 MG34-ラフェッテ34 射表 (s.S.弾用)

ここからは「H.Dv.73の付録6 MG34-ラフェッテ34 射表 (s.S.弾用)」のマニュアルに掲載されている内容(主に射表)を掲載する。



1. Erhöhung(高低・仰角)

目標までの射撃距離(Visier:単位=m)とこれに対応する光学照準器の仰角(Visierviertel in Teilstrichen:単位1/6400ミル)

例:起伏の無い平らな土地において1800m先の目標に射撃する場合、光学照準器の仰角ダイヤルで46ミルの仰角を与える。




2. Anschalttafel(設定表・換算表)

各射撃距離において希望する左右の横方向と高低差に弾を散布する場合、何ミルの設定が必要かを示した射表。

リスト左から
・Entfernung in m:目標までの距離(m)
・Seitenabstand:左右の横方向の距離(1~10mまでを1m単位で)
・Höhenunterschied in m:高低差(縦深方向・20~100mまでを10m単位で)

適用例

(1)距離2000mで左右へ20mの散布 → 10.2ミル
   左右へ25mの散布 → 12.7ミル(=10.2ミル+2.5ミル)

(2)距離1800mで測った地形角+40ミル(=高低差70m)を 2200mに換算 → +32ミル(高低差は同じ70m)

(3)距離200mで測った地形角-51ミル(=高低差10m)を 2000mに換算 → -5.1ミル(高低差10m)

(4)距離2200mで測った地形角-30ミル(=60m+4m=64mの高低差)を 2600mに換算 → -25.6ミル(高低差64m)

(5)位置差(Stellungsunterschied)=40m、射距離=2200m → 40m / 2200m = 19ミル

(6)距離1800mにおいて左右へ100m、縦深50mに弾幕を散布したい。
   → 左右を57ミル、高低差を28ミル




3. Überschießtafel(超過射撃表)

前方に展開する友軍部隊を安全に飛び越えて射撃するための設定を示す射表。ラフェッテに装備されている射表と同じ。

リスト左から
・Entfernung zur eigenen Truppe in m:自軍部隊までの距離(m)
・Sicherheits-teilstriche (k):安全を確保できる角度(単位はミル)
・Sicherheits-visiere:安全を確保できる最低限必要な射撃距離(単位はm)

例えばラフェッテの前方1200mまで友軍部隊が展開している場合、+37ミル、射撃距離は1600m以上に設定する。

補足:
自軍部隊は次を満たすとき安全に超過射撃が行える。
目標への仰角 a が、味方までの地形角 c + 安全角度 k より大きいか等しい場合。



17. Bilder zur Überschießtafel(超過射撃の図)

射表3の補足図1

MGから目標までの距離:1500m
仰角(最も低い縦深射撃位置):33+14-2= +45ミル
友軍部隊までの距離:700m
地形角度:10ミル
安全照準角:23ミル

計算式:必要条件:a ≥ e + k
(a = 仰角、e = 地形角度、k = 安全照準角)
実際の値:a = +45、 e + k = 10 + 23 = 33
45 ≧ 33 なので 安全に超過射撃可能。

結果:100m 縦深射撃で超過射撃ができる。



射表3の補足図2

MGから目標までの距離:1200m
仰角(最も低い縦深射撃位置):22-2= +20ミル
友軍部隊までの距離:600m
地形角度:-4ミル
安全照準角:22ミル

計算式:必要条件:a ≥ e + k
実際の値:a = +20、 e + k = -4 + 22 = 18
20 ≧ 18 なので安全に超過射撃可能

結果:100m 縦深射撃で超過射撃ができる。




4. Vorbeischießen an eigenen Truppen(友軍部隊の側方通過射)

前方に展開する友軍部隊の側方をかすめて射撃する際の安全角度を示す射表。

リスト左から
・Entfernung zur eigenen Truppe in m:自軍部隊までの距離(m)
・Sicherheitsmarken*:安全な設定数 ※設定数1=10ミル


5. Breitenfeuertafel(幅射表 50mの幅で掃射する場合)

リスト左から
・Entfernung m:距離(m)
・Marken:設定数 ※設定数1=10ミル




6. Tiefenfeuertafel(縦深射表・s.S.弾用) — 100m の縦深で撃つ場合

扇型の図は所用の設定数で与える縦深射撃の展開幅(距離別:1200/2000/2600/3000/3300)を示す。
※設定数1=3ミル

補足:
この図は平地での射撃に適用する。
目標方向に地形が上に傾斜している場合などは縦深を拡大する。




7. Tafel zum Schätzen des Bodenwindes(地上風の目測表)

リストの左から
Windwirkungen(風の現象)
Windgeschwindigkeit m/sec(風速 m/s)

・煙はほぼまっすぐ上昇し、葉は動かない …… 0-1
・風向は煙でしか分からず、樹木の葉が時おり動く …… 2
・小旗(Wimpel)が軽くたなびき、顔で風を感じ、葉がかすかに鳴る …… 3
・葉は常時動く 塵や紙片が舞い上がり、細い枝も動く。水面にさざ波がはっきり立つ …… 4
・小旗は伸び気味になる …… 5
・水面に小波が立つ 弱い白い筋(白波)が見え始める …… 6
・体感で不快になる やや大きい旗も強くはためく。風の音がよく分かる …… 7
・風は固い物体に当たる音としてはっきり聞こえ、高い樹も揺れ、水面には白波が現れる …… 9
・風に向かっての歩行にやや苦労する 白波多数 …… 11

さらなる強風域 以降の風向判定は小旗・煙突の煙・喫煙の煙や点火した導火線の炎で判断 …… 13-15

※表中の「小旗(Wimpel)」の挙動に関する記述は、長さ30cm・幅10cmの麻または木綿製の小旗を基準とする。




8. Anschalttafel für Witterungseinflüsse. a) Temperatur
気象影響のための設定表: a)気温の補正


リストの左から
・Entfernung m:距離(m)
・Temperatur Grad C:気温(℃)

表内の各数字:照準器目盛りの補正量(ミル)

例:
射撃距離:2800m
実測気温:25℃
→ 表から「-7.5」であることが読める。25℃では仰角を7.5ミル下げる。

補足:気温が高いほど空気密度が下がり弾道が伸びるため、マイナスの補正が必要になる。




8. Anschalttafel für Witterungseinflüsse. b) Längswind
気象影響のための設定表: b)向かい風/追い風


リストの左から
・Entfernung m:距離(m)
・Wind in m/sec:風速(m/s) 列は2、4、6、8、10

表内の各数字:照準器目盛りの補正量(ミル)

向かい風はプラス(仰角を増す)
追い風はマイナス(仰角を減らす)

例:
6m/sの向かい風、距離2800m → +4ミル
7m/sの追い風、距離2900m → -6ミル




8. Anschalttafel für Witterungseinflüsse. c) Querwind
気象影響のための設定表: c)横風/左右からの風


リストの左から
・Entfernung m:距離(m)
・Wind in m/sec:風速(m/s) 列は2、4、6、8、10

表内の各数字:照準器目盛りの補正量(ミル)

左からの風 → 風上(左)へ補正
右からの風 → 風上(右)へ補正




8. Anschalttafel für Witterungseinflüsse. d)
気象影響のための設定表: d)気圧(+10℃における)/または海抜高度(N.N.)による補正


リスト左は Entfernung m:距離(m)

リスト中央上から
・気圧:mm(Hg) 780~560まで
・海抜基準からの高度:(m) 0~2480まで

各射撃距離における気圧または高度によるラフェッテ照準器の仰角補正を示す。
+:仰角を増す
-:仰角を減らす

例:
判明した高度 = 800m(海抜) 射撃距離 = 2800m
したがって −11ミルを与える。

距離 3000m、気圧 700mm(海抜約680m) → -12ミル

距離 3000m、気圧 610mm(海抜約1800m) → -32ミル
(高度が上がるほど空気密度が低下し弾道が伸びるため、マイナス補正が大きくなる。)





9. Windzerleger(風の分解表)

目的:実際の風向・風速から射線に対する
L = Langswind(射撃方向における風の成分 縦風)
Q = Querwind(射撃方向に直角な風の成分 横風)
をm/sで求める。
風成分の符号(+/−)はそれぞれに対応する補正の方向を示している。

リスト左と右
Unterschied: Windrichtung – Schußrichtung (in Punktziffern)
風向と射撃方向の差(方位点番号:Punktziffern)
(32方位で数える。1目盛=11.25°)

リスト中央
Windgeschwindigkeit in m/sec(風速 m/s)
各風速 2 / 4 / 6 / 8 / 10 に対して L / Q(縦・横成分)を並記。

リスト内の数値
その差(0~31)× 風速に対する L(縦)と Q(横)の成分値(単位 m/s)

符号は成分の向きを示す(+/−)
補正は常に「風上」へ与える。


読み取り手順
1.風向と射撃方向を「風配図 ※図10」で0〜31の番号にする。

2.差(風向 − 射撃方向)を求める。風向番号の方が射撃番号よりも小さい場合は風向に32を足してから差を求める。

3.差の横列と、風速の縦列が交わるマスにL(縦風)とQ(横風)が載っている。


例1: 風向25、射撃方向(方位)05、風速 4 m/sec

25 − 05 = 20

リスト横列の20において縦列(風速)4の位置に、射撃方向の風成分(縦風)L = −3m/sec、射撃方向に直角の風成分(横風)Q = +3m/secを見いだす。風成分の符号はすでに対応する補正の方向を示す。

例2: もし風向の数字が射撃方向の数字より小さい場合には、前者にまず32を加え、その後に差を求める。例:風向 03、射撃方向 08、風速 10 m/sec。

03 + 32 = 35
35 − 08 = 27
横列の27、縦列の10から縦風 L = +6 m/sec、横風 Q = +8 m/sec となる。




11. Umrechner für S. F. 14 Z.(砲隊鏡用の換算表)

表の左:/16 Grad(1度を1/16に割った目盛り)
表の右:Teilstriche(1/6400ミルの目盛り)

S.F.14 Z.(砲隊鏡)の角度表示はドイツ軍で多用されている1/6400ミルの単位でなく、1度をさらに16分割した目盛り(1目盛り:0.0625度 または 1.111ミル)となっているため、砲隊鏡で得た角度数字をミルへ変換する必要がある。この表によって数値を大まかに変換できる。

なお、第二次世界中に使用されたS.F.14 Z.の角度目盛りは1/6400ミル単位になっているため、表による換算は必要ない。このマニュアルが作られた1937年頃はミル単位ではない砲隊鏡が一定数使用されていたようだ。

1° = 17.78ミル
1′ = 0.3ミル
1″ = 0.005ミル
1ミル = 0.0563°
1ミル = 3.375′
1ミル = 202.4″




12. Abgangswinkel, Fallwinkel, Gipfelhöhe und Flugzeit
(発射角・落下角・頂点高度・飛翔時間)

s.S.弾(重尖頭弾)を発射した際の、各射程距離ごとの弾道要素をまとめた表。

リスト左から
・Entfernung m:距離(m)
・Abgangswinkel Grad:発射角(度) ※水平面に対する銃口の角度
・Fallwinkel Grad:落下角(度) ※着弾地点での弾道の入射角
・Gipfelhöhe m:頂点高度(m) ※弾道が最も高くなる点の地表からの高さ
・Flugzeit sec:飛翔時間(秒) ※発射から着弾までの時間


弾丸重量:12.8 g
装薬:2.85 g
初速:755 m/s
発射誤差角:-4分
断面荷重:26.2 g/cm²




13. Mittlere Flughöhen in Metern über und unter der Mündungswaagerechten
(銃口水平線の上下における平均飛翔高度(m))


ある照準設定で射撃した際に、弾道が各距離において銃口水平線からどれだけ上下しているか(平均の高さ)を確認する弾道表。超過射撃の安全確認や遮蔽物を越える/越えないなどの判定に使用する。

リスト左から
・Entfernung m:距離(m)
・Teilstrichzahlen:ラフェッテ照準器の照準設定値

リスト中央最上段
・Halbmesser der 100%igen M.G.-Garbe in m:機関銃の100%弾幕の半径(m)

この下に
Entfernung m:距離(m)

それぞれの行・列の交点に銃口水平線に対する平均飛翔高度が示されている。

例1:
射撃目標距離:2800m(仰角は120ミルに設定)、同一方向1900mの地点に高さ100mの遮蔽物がある。この時、遮蔽物を越えて射撃が行えるか?

表から、射撃距離2800mで1900mにおける弾道高度は119mであると読める。
また、表の上にある機関銃の100%弾幕の半径(m)は7.2mとなっている。このため弾道の平均高度は119mであるが弾道の散布を考慮すれば119m±7.2mが実用の弾道高度となる。
遮蔽物の高さ100m < 弾道高度 なので安全に射撃ができる。

例2:
射撃目標距離:1500m(仰角は33ミルに設定)、2000mにおける弾道高度は?

表から-46m(銃口水平線より下)と読める。




14. Tafel der von den Visieren oder den Visiervierteln in Teilstrichen abzulesenden Werte beim Schießen im Gebirge
(山岳射撃における照準修正表)


山岳射撃(登り・下りの傾斜地)において、射撃地点から見た地形角度と射撃距離に応じた照準器の修正量を示した表。上の表が「登り傾斜」、下の表が「下り傾斜」に対応する。登り・下りのどちらも仰角をマイナス方向へ補正するのが基本となる。

リスト左から
・Geländewinkel zum Ziel Grad:目標への地形角(単位は度)
・Teilstrichen:地形角度に対する仰角(単位はミル)

リスト中央
Entfernung:距離(600mから3000mまで)

表の交点は上下に分かれており、上の数値はリアサイトの調整量、下の数字はラフェッテ照準器の修正量を示す。

例:
登り斜面 地形角30度(仰角は533ミルに設定)で射撃距離2000mの場合。
・MG34のリアサイトでは150m分のマイナス
・ラフェッテ照準器では8ミルのマイナス


下り斜面 地形角40度(仰角は711ミルに設定)で射撃距離1600mの場合。
・MG34のリアサイトでは350m分のマイナス
・ラフェッテ照準器では13ミルのマイナス




15. Höhendurchmesser der 100%igen Garbe ohne und mit Tiefenfeuer (Mittelwerte)
100%散布の高さ方向グルーピング 縦深射なし/あり 平均値


s.S.弾を使用し、地面から垂直に設置された目標に対する散布を示した表。つまりラフェッテの命中率(グルーピング)である。縦深射ありの場合は銃架が上下に動くため散布は広がる。遠距離を高精度に狙撃できるようなイメージがあるラフェッテであるが、遠距離においては散布が大きく広がる。

リスト左から
・Entfernung in m:距離(m)
・Ohne:縦深射なし
・100m:縦深射を100mに設定
・200m:縦深射を200mに設定

射撃距離1200mにおけるグルーピングは6.2m、3000mでは70mになる。




Tiefenausdehnung der 100%igen und der nutzbaren Garbe ohne und mit Tiefenfeuer (Mittelwerte)
100%散布および有効散布の縦深方向グルーピング — 縦深射なし/あり 平均値


平坦な土地でs.S.弾を使用し、地面に対する散布範囲を示した表。このため、弾道がフラットで着弾角度が極めて浅くなる近距離では散布が非常に大きくなる。

リスト左から
・Entfernung in m:距離(m)
・Ohne:縦深射なし(左に100%散布、右に有効散布)
・100m:縦深射を100mに設定(左に100%散布、右に有効散布)
・200m:縦深射を200mに設定(左に100%散布、右に有効散布)




16. Sicherheitsbestimmungen für das Überschießen
超過射撃のための安全規定


1.遮蔽された射撃陣地から:
友軍手前の稜線や地形の傾斜は目標への総仰角(縦深射を行わない場合の仰角)が、友軍(または遮蔽物)への地形角と安全余角の合計以上であるとき、安全に超過射撃できる。

2.友軍までの距離または越えるべき稜線までの距離は測距儀で計測すること。推測は近距離で確実に測定できる場合に限り、最大で500mまでに限られる。

3.開放された射撃陣地から:
安全余角目盛(Sicherheitsteilstriche)を備えた棒状照準器を使用した場合(必要に応じ縦深射を設定)、友軍を危険にさらさず安全に射撃できる。友軍が射線の下に位置する場合は射撃禁止。

4.友軍までの距離は測距儀で求めること。推測は近距離で確実に測定できる場合に限り、最大で500mまでに限られる。
※「2.」とほぼ同じ内容が書かれている

5.安全に際しては、常に射線上にある高い部分(手前の稜線や樹木・建物の上端)を確認すること。
常に以下を満たすこと:
a) 友軍の前面にある地形の高所部についての安全。
b) 友軍のいる場所や射線上にある高い物(木や建物など)にも弾が当たらないことを必ず確認する。

6.草地に印をつける、標識を立てるなど、友軍の正面に対する安全を確保すること。必要に応じ観測員を配置する。

7.射撃台(ラフェッテなど)の確固たる設置は、超過射撃の前提条件である。

8.休止(射撃中の小休止)のたびに点検すべきもの:
照準器、気泡管、水準器、照準棒、角度目盛(ここでは安全余角目盛も)、左右射角制限具、および縦深射装置。

9.縦深射装置は正しく調整されていなければならない。

10.射撃を担当する兵員は互いに手信号で連絡できる状態であること(確実な連携)。

11.超過射撃には s.S.弾のみを使用すること。薬莢内の装薬の正しい配置に注意すること。

12.平時の射撃訓練では、銃口の前方に立って見学する者が生じぬよう、訓練部隊と同様の配置(立ち位置)を徹底すること。

13.実弾を使う訓練では擬装(カモフラージュ)をしてはいけない。
※視認性低下に伴う事故を防ぐ

14.超過射撃に使うMGおよび銃身は、武器係が本用途に適すると判断したもののみ使用すること。

15.超過射撃中、友軍の上を通る射撃線から1本の銃身で射撃を継続し1000発を超えて撃った場合、その銃身は口径ゲージ(7.94 mm)で摩耗を測定しなければならない。測定に用いる円筒ゲージが銃口からマズルナットまで入るようであれば、その銃身は超過射撃には使用してはならない。

注記: あらゆる実戦射撃の前後に、MGとすべての銃身は武器係の検査を受けること。
超過射撃に不適と判定され MGは修理が完了して超過射撃に再び適すると認められるまで、X-銃(代用銃)として取り扱うこと。銃身の検査は規定 H.Dv. 181/3 に従う。




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