■レシーバー その1
ロアレシーバーはプレス製のエジェクションポートダストカバー以外ピストルグリップ本体部も含めて全て削り出しによって製作。生産時期による外観形状の変化はほとんど無いが、極初期生産品となる2,300挺のみピストルグリップ内部に発射速度を調整(毎分500発~1,000発)できる機構が装備されている。
MG34はトリガーにセミ・フルオート射撃の切り替え機構があり、「E」(Einzelfeuer) の刻印がある上側を引くと単発射撃、「D」(Dauerfeuer)の下側を引くと連続射撃となる。
【発射速度について】
連続射撃時の発射速度は、毎分約800~900発(給弾に要する時間を除く)。
軽機関銃(L.M.G.)として使用し、3~5発のバースト射撃を行う場合の実用的発射速度は、毎分100~120発。
重機関銃(s.M.G.)として連続射撃を行う場合の発射速度は、毎分300~400発。
トリガー上部の同心円状の滑り止め加工が施された丸ボタンが安全装置。写真では「S」(sicher 安全)が見えているので安全装置が掛かった状態となる。
丸ボタンを押しながらスライドさせる。「F」(feuer 発射)が表示され射撃状態を示す。
レシーバー右側には大きく突き出たコッキング・ハンドルがあり、全面に繊細な滑り防止のローレット加工が施されている。MG34のコッキングハンドルはリコイルスプリングを圧縮する以外に、ボルトと銃身のロッキング解除、銃身リターンスプリング(ショートリコイルで後退した銃身を前進位置へ押し戻す)の圧縮、コッキングハンドルと噛み合っているボルトキャッチ(ロッキングの早期解放を防ぐ突起)の解除など、様々な機構と連動しているため、特にコッキングの引き始め動作は非常に重い。
レシーバー下面にはエジェクションポートがあり、射撃後の薬莢は真下にけり出される。異物進入防止のために装備されたダストカバーはトリガーの動きに連動して自動的に開く。
トリガーガード前方のスリットから僅かに飛び出た金属線によってダストカバーは閉じ位置で保持される。この金属線はトリガー機構とリンクしており、トリガーを引くと金属線も後退、ダストカバーがスプリングの力で開く。
MG34のレシーバー後部は円形となっており、内部の溝に噛み合ったボルト後部が見える。
平面と曲面、各部のエッジが複雑に入り組んだレシーバー部品は削り出し機械加工の魅力を堪能できる。当時はほとんどの機関銃が削り出しで製作されたレシーバーを持っていたが、このMG34に関しては形状の複雑さ、工作精度の高さで抜きんでている印象。