■カール・ツァイス 4倍望遠照準器 / Zielvier







望遠照準器本体はスチール製でブルーイング(黒染め)仕上げ。中央にレティクル上下位置と視度調整の機構を備える。非常にシンプルな外観で機能は必要最小限だが、今でも実用に耐える素晴らしい光学性能を有している。接眼レンズ側の径が対物レンズに比べやや大きい。

マウントへ装着するための前後の支柱は固定されており、取り外しできない。










全長:269㎜
対物レンズ筒外径:35㎜
接眼レンズ筒外径:38㎜
中央筒外径:26.4㎜
対物レンズ径:31㎜
接眼レンズ径:34㎜
重量:378g
倍率:4倍
アイレリーフ:70~80㎜
100m視野:9.9m




接眼レンズ径は34㎜。アイレリーフ(目と接眼レンズの距離)は70~80mmとなっており、覗きやすい。接眼レンズ群が納まる太くなった鏡胴の基部はネジ込み式となっており、照準器本体筒から簡単に分解できる。




対物レンズ径は31mm。対物レンズ側の鏡胴は本体筒と一体成型で分離できない。






接眼レンズ側にある望遠照準器の刻印。1942年後半から使用された「+」のグリスコード、カール・ツァイス・イエナを示すロゴマーク、「Zielvier」、「Nr.33562」の製造番号。

Ziel は「目標」または「照準」を、vier は数字の「4」を意味するため、Zielvier という名称は「4倍照準」という意味になる。日本語読みでは「ツィールフィア」。










中央に設けられた調整部は真鍮製でツヤあり黒の塗装仕上げ。1-8(100~800m)までの刻印がある円形ダイヤルを回転させて、射撃距離に応じてレティクル位置を上下に調整する。1-8までの数字があるタイプは軍用型とされており、民生品とは異なる部分。上の写真は射撃距離を5(500m)に設定した状態。横に突き出たローレット加工が施された小さなネジを締めるとダイヤルの回転がロックする。なお望遠照準器本体に左右への調整機構(ウィンデージ)は無い。

ダイヤル中央のノブは視度調整用。回転させると視度が変化する。

調整部は4本のマイナスネジを外すと望遠照準器本体から分離するが、スコープ内部に設けられた2つの突起が調整部の部品と嵌合しており、取り外し・取り付け共にややコツがいる。








民生品 Zielvier との比較。いずれの写真も手前の個体が民生品。望遠照準器本体の形状やサイズ、各調整機構などは全く同じ。
※マウント支柱の取り付け位置は異なっています。






民生品のためグリース記号などの軍特有の刻印が無い。ロゴマーク以下の刻印内容は同じ。






民生品にはレティクル位置調整ダイヤルに数字の刻印が無い。




接眼レンズから撮影した実物のレティクル。ドイツ軍では一般的な「T字型」(Absehen 1)。やや太いレティクル線は特に薄暮時に確認しやすい。目標をとらえる中央部の線が切れているため、目標の視認性が高く小さな目標でも迅速にとらえやすい、などの特徴がある。


当時のカール・ツァイスの製品広告を確認すると、横線が中央で途切れている間隔(赤矢印で表示)は100mで70cmと表記があり、これは倍率に関係なくツァイス望遠照準器に共通する、と書かれている。この70cmという数字は当時の狩猟で主なターゲットだったヨーロッパノロジカ(小型の鹿)の胴体長に合わせてあり、鹿の胴体とレティクル線を重ねることで射撃距離を簡易に計測できる。

実物で確認すると、確かに70cmに設定されている。




標的の実際の見え方。大きく見える兵士までの距離100m、その右側、小さな兵士までは800m。4倍は狙撃用途としては低倍率であり、400m以上の射撃では目標に対して正確な狙いを付けることが難しくなる。また銃の命中精度の点でも400m以上の距離は正確な命中が難しく、実用的な射撃は400m前後(上限で600m)となっていたようだ。




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