■ターレットマウント リング支柱
狙撃銃のKar98kは市販のマウントやレシーバー左側面にネジ止めで固定するショートサイドレールを使用していたが、1939年、ドイツ国防軍最高司令部からの指示によりKar98k専用のターレット型マウントが開発された。このマウントはZF39と呼ばれ、マウザー社が開発・製造を行った。ZF39とは特定の望遠照準器を指すのではなく、ターレットマウントのシステム全体を指す。
ターレット型マウントには2種類があり、1940年から生産が開始された初期型は「ロー・ターレット」、1943年後半から登場した後期型は「ハイ・ターレット」と呼ばれる。ハイ・ターレットは生産性向上とコスト低減を目的としており、望遠照準器の取り付け位置が若干高くなっている。ターレット型マウントを装備したKar98kは多くがマウザー社で生産されており、他の製造メーカーはJPザウアー社のみが確認されている。
ターレット型マウントは前後に支持部があり、各支持部はレシーバー側に固定されるマウントと望遠照準器本体を保持するリング支柱に分かれる。この構造によりマウント基部をレシーバーに残したまま、簡単に望遠照準器を銃から取り外すことができる。
本項では「ロー・ターレット」を紹介する。
望遠照準器を保持するリング支柱(写真左が前部、右が後部用)。スチール削り出しでガッチリとしており、いかにもドイツらしい造り。リング部は一体型のため望遠照準器を分解しないと取り付けができない。取り付けには望遠照準器の接眼レンズ鏡胴と中央部の調整ダイヤルを基部ごと取り外しリングを通す。これらの作業は生産工場で行われ、リングと望遠照準器はロウ付けで固定されるため分解できない。
前部マウントに差し込まれる円形の支柱には板バネが付いており、4本のネジとプレートで固定される。このバネがマウント内壁に加工された溝に噛み合うことで脱落とガタつきを防止する。
なお、単体で写っている支柱は板バネやネジが未装着の状態。
上下2部品で構成される後部リング支柱。
上下の接合部は左右に移動可能な構造で左右調整(ウィンデージ)ができる。調整の具体的な方法は、リングを左へ移動させたい場合、左側のネジを移動量分だけ緩め、右側のネジを締める。前部支柱はターレット内で回転するため、望遠照準器に負荷を掛けることなく調整が可能。Zielvier は照準器本体に左右調整の機構が無いため、マウント側で調整しなければならない。
写真左側へ0.5mmほど動かした状態。ネジを緩める照準調整は武器係の担当であり、一般兵が行うことは禁止されている。
後部マウントは接合部へ回転しながら噛み合うため、接合レール面がわずかに円弧を描いている。
緩み防止のイモネジが付いた大きなマイナスネジによってレールに差し込まれた支柱が所定の位置で止まる。
マウントレールと嵌合した支柱をロックするレバー。レバー基部がDカット形状になっており、時計回りに回転させるとロックする。
レバー側の板バネ突起と支柱側の凹が噛み合い、緩みを防ぐ。
下部中央の穴により銃のアイアンサイトが使用できる。望遠照準器が故障・使用不可になった場合の緊急用。